昨年に引き続きハイブリッド形式で開催した第5回佐倉サイエンスアカデミーは、約50名の方にご参加いただきました。誠にありがとうございました。今回は佐倉高校と成田西陵高校の生徒の皆さんがとても真剣に先生のお話しを聴かれている姿が印象的でした。

 皆様に学びの機会をご提供できたこと、植物化学(科学)の世界を知る一助となれたことに事務局一同喜びを感じるとともに、ご講演いただいた染井先生に大変感謝しております。

 また、成田西陵高校におかれましては、講演に出てきた「ソムレ」を実際に授業・実習に取り入れていただけるとのことで、講演当日だけではなく、継続的な学びや探求の機会を提供できたことを事務局一同大変うれしく思っております。

 今回の講義内容にご興味のある方は、「第5回佐倉サイエンスアカデミーレポート」をご覧ください。

 講演後には講義に関する質疑応答も行われました。参加者の皆様、沢山のご質問誠にありがとうございました。いただいたご質問、および、回答につきましても本ページのQ&Aに掲載していますので、ご覧ください。

佐倉市 西田三十五市長ご挨拶

(株)常磐植物化学研究所 立﨑社長ご挨拶

染井先生ご講演の様子

質疑応答の様子

佐倉市教育委員会 圓城寺教育長 結びのお言葉

講義後のアンケートでは次のような感想、コメントをいただいております。

***************感想・コメント(一部抜粋)**************

・植物が暮らしや生き物を守っていることがよくわかり、関心が深まりました。社会問題に植物でアプローチしていくということに興味をもてました。ありがとうございました。

 

・たった少量のソムレで収穫量への効果がすごく高く、世界の飢餓が救える未来が来る事に関心を持った。ここまでくるのにたくさんの実験や検査のくり返しだと知り、あきらめないことと、何ごともやってみることの大切さを学んだ。

 

・あまり理系に興味関心がない私でも興味がわく講座でした。こんなふうに緑化に効果的な薬があるとは思わず、もっと知りたくなりました。

 

2.0mgで500円。世界中で使えばもっと安く、地球温暖化や食料危機の(解決策)が、もうすでに存在しているということに驚いた。少量のソムレでも食物が通常の4倍程になり、収穫量の向上につながるなど、自分が思う以上に進んでいると知った。

 

・「ソムレ」使ってみたくなりました。


第5回佐倉サイエンスアカデミーレポート

タイトル:「世界の飢餓をなくし、緑の惑星、地球を回復する 世界の砂漠緑化計画~「ソムレ」の開発と世界展開~」

講  師:染井 正徳(そめい まさのり)先生

     ソメイヤッコ(薬壺)研究所 所長、金沢大学名誉教授

詳細な要旨はこちらの資料をぜひご覧ください!

地球を蝕む「砂漠化」と、それに伴う「食料問題」。

深刻化するこれらの問題を解決するために先生が開発された「ソムレ」という化合物は、植物の成長促進・収穫量増収剤としての効果を示しています。本講演では、先生の長年の夢である「地球の薬」の開発と、砂漠緑化を実現させるための具体的な研究についてお話しいただきました。

<Q&A いただいた質問およびそれに対する回答>

たくさんの興味深いご質問をいただき、ありがとうございました。

下記に一部抜粋したものを掲載いたします。

 

Q:ソムレはオーキシンに似た構造をしていますが、オーキシン様の活性を期待して合成されたのでしょうか?

A:オーキシンは、植物体内で作用を発揮した後、植物体内で代謝されて他の物質に変化していきます。私は、1-ヒドロキシインドール化合物群に変化すると想像しました。1-ヒドロキシインドールは、天然物として一例も単離されていませんでしたので、常識では考えつかない構造でした。その上、1-ヒドロキシインドールは、極めて不安定な物質であるため、その合成は現在も出来ていません。しかし安定な誘導体である1-メトキシインドールを合成することが出来、30年間の試行錯誤を繰り返して、1-ヒドロキシインドールの化学を創造することが出来ました。

 

Q:ソムレが一番作用しやすい濃度はどれですか?

A:植物の種類により異なりますが、通常は1.0 ppm (100万分の1) の濃度で、ほぼ最高の効果を示します。また品種により異なることが分かりました。最近トウモロコシでは、1.0 ppb (10億分の1) で効果を示すことが分かりました。どの植物のどの品種に最適な濃度はどれか?まだまだ検討中です。

 

Q:くだものに使った場合、果実は大きくなりますか。花に使った場合はどうなりますか?

A:リンゴやブドウ、バナナも収穫が増します。カカオも良く育ちます。花卉も試みた全てが丈夫に美しく育ちます。バジルなどハーブも大きく育ちます。チューリップも大きくなり、花弁の数が増加しますので大きく美しい花となります。ワサビも良く育ちます。
染井吉野桜の挿し木もうまく育ちます。絶滅危惧植物(姫小松)も復活しました。日本の伝統である漆の木も増殖できます。

 

Q:植物の味までも美味しくなった仕組みについてもう少し聞きたいです。

A:太く健康で立派な根が成長しますので、地中から栄養素やミネラル、水溶性成分を十分に吸収できます。結果として糖分やたんぱく質、アルカロイドや漢方薬成分、自身の成長に必要な物質を作れるからです。

 

Q:大量生産など可能なのか?

A:私は、安価で大量生産が可能な方法を開発する事は、合成化学者・薬学者の義務であると考えています。ソムレの合成は、安価な石炭タールの成分であり大量に生産されているインドリンを原料として、私の創始した1-ヒドロキシインドールの化学に従って、短工程かつ安価に、しかも大量合成が可能となりました。

 

Q:緑地化後の管理において、留意点はありますか?

A:砂漠を緑地化するには、自生植物を使うべきと考えます。暑さに強い、乾燥に強いといって、ポプラや他国で生えている植物を使うべきではないと考えます。また樹種も様々なものを使って混植させます。作物でも、森でも一種類を使った結果、病気が蔓延して絶滅したり、飢饉が起こったり、歴史上沢山記録されています。
人間の管理は、利益を生むことを最優先に実施されがちなので、これを廃して、植物の自由・自然に任せればよい。作物の生産は、必要量にコントロールすれば良いと考えます。

 

<ご聴講いただきありがとうございました>

今後の開催情報につきましては、ホームページ・SNS等で発信していきますので、ぜひチェックしてみてください!