昨年に引き続きハイブリッド形式で開催した第4回佐倉サイエンスアカデミーは、約100名の方にご参加いただきました。誠にありがとうございました。特に今回は学生の参加が過去最多となり、小学生から大学生まで幅広い年代の生徒の皆さんがとても真剣に先生のお話しを聴かれている姿が印象的でした。

 皆様に学びの機会をご提供できたこと、植物化学(科学)の世界を知る一助となれたことに事務局一同喜びを感じるとともに、ご講演いただいた後藤先生に大変感謝しております。

 今回の講義内容にご興味のある方は、「第4回佐倉サイエンスアカデミーレポート」をご覧ください。

 講演後には講義に関する質疑応答も活発に行われました。参加者の皆様、沢山のご質問誠にありがとうございました。いただいたご質問、および、回答につきましても本ページのQ&Aに掲載していますので、ご覧ください。

(株)常磐植物化学研究所 立﨑社長ご挨拶

佐倉市教育委員会 圓城寺教育長ご挨拶

後藤先生ご講演の様子

オンラインで聴講している様子

現地参加された成田西陵高校の皆様

講義後のアンケートでは次のような感想、コメントをいただいております。

 

***************感想・コメント(一部抜粋)**************

 

・今回の講義では、今まで知らなかった植物の特性や、栽培環境における植物の変化についても学べてとても良かったです。
植物と宇宙の関わりについても、しっかりと知れてとても良かったです。

 

・宇宙での植物生産、とても夢があるお話だと思いました。
様々な分野が協力して1つのプロジェクトが進んでいることを、とても良く理解できました。興味深いお話をありがとうございました。

 

・佐倉でこんな素晴らしいイベントをされているとは驚きます。続けて欲しいですし、広まって欲しいと思います。

 

・ワクワク、ロマンいっぱい、もっともっと時間があれば、もっと聞きたかったです。
有機農業(完全オーガニック)と商業用ハウス、露地農業を経験してみて、こんなにも違うのか!と驚きでした。

地球温暖化などの気候変動のせいで、今までやってきた方法では、うまく育たなくなって困っている農家さんが多いのを目の当たりにしてきました。科学の力でこんなに簡単に作れているとは!! 

 

・植物の工場の生産が思ったより進んでいて、産業化が近いことに驚きました。月面の植物、夢があって楽しそうです。


第4回佐倉サイエンスアカデミーレポート

タイトル:「月面で作物を育成し、美味しい料理を作る」

講  師:後藤 英司(ごとう えいじ)先生

     千葉大学 大学院園芸学研究院 環境調節工学研究室 教授

詳細な要旨はこちらの資料をぜひご覧ください!

<講義内容振り返り>

近年、月や火星などの惑星探査に続いて、ヒトの月面居住に関する研究開発が進められています。月面に居住空間を造り、ヒトの長期滞在を実現するためには、食料の現地生産と資源のリサイクルが必要になります。そのために低重力の月面の地下に植物工場を造り、作物を栽培して高品質で高機能な食材を作るユニークな研究についてご紹介いただきました。

<Q&A いただいた質問およびそれに対する回答>

たくさんの興味深いご質問をいただき、ありがとうございました。

下記に一部抜粋したものを掲載いたします。

他のご質問とその回答に関しては、こちらをぜひご覧ください。

 

Q:月面や無重力環境下での植物育成の課題点はなんですか?

A:月面は低重力で 1/6g であり、無重力環境とは大きく異なります。月面は地上に近い環境と考えて良いですが、低重力下での空気や水の流動制御や授粉用昆虫に代わる機械授粉法を確立するなどの課題があります。

 

Q:害虫や病気の非害がないことで育てている植物の抵抗性が下がり、育てづらくなってしまったりしませんか?

A:植物にとって、環境変化に抗する抵抗性能力の保持は、好適環境の植物工場では必要がありませんので、むしろ病虫害や生理障害がなければ最高の生育を示します。

 

Q:月面での植物生産で品種改良は、どれくらい必要がありますか?

A:高密植栽培に適する品種や、長い日長で生育する品種が求められます。これによって、資源・エネルギーの投入量を大幅に節約できます。

 

Q:これは育てられないだろう。難しいだろうという植物はなんですか?

A:植物工場は自然環境を再現することができるため、育成ができない植物は無いと考えています。

 

Q:宇宙で育てた植物の栄養は同じでも味は変わったりしないんですか?

A:地上の植物工場で最適条件を見出してから月面に植物工場を作るため、地上と同じ生育が期待できます。したがって味も変わらないと思います。

 

Q:マメ科植物の根粒が無い状態での生育などどうなりますか?

A:ダイズなどのマメ科植物は、根粒菌がなくても、培養液中に窒素があれば問題なく育ちます。

 

Q:今後、日照要求性の高い木本性の果実などを植物工工場で栽培する際、どのようなハードルが考えられますか?

A:果樹はすでに施設栽培(ビニルハウスや温室でポット栽培すること)ができるようになっています。ですので、植物工場栽培も可能と思います。

<ご聴講いただきありがとうございました>

今後の開催情報につきましては、ホームページ・SNS等で発信していきますので、ぜひチェックしてみてください!